以前、心理カウンセリングにおけるアドバイスの位置づけについて書きました。
心理カウンセリングとアドバイス
アドバイスすることを怖れているカウンセラーには、少し勇気を与える内容であったと思います。
今回は、時間という観点で、もう一つ付け加えようと思います。
これは、私の過去の経験です。
学校に、スクールカウンセラーが設置されるようになったのは、平成7年でした。
このときから、臨床心理士の資格を持った人が、時間勤務で学校に入ってくるようになりました。
この方たちは外部委託職員ですので、基本的に学校運営に携わることはありません。
学校内に相談室を設け、そこで問題のある生徒と面談をしたり、報告書を書いたりして、ほぼ半日勤務します。
この方たちの生徒への向き合い方は、基本、じっくり傾聴型です。
例えば、不登校気味の生徒に対してはこんな感じです。
黙りこくる生徒
じっと心が開かれるのを待つカウンセラー
遊びのことを話し始める生徒
うんうん、とうなづきながら聞くカウンセラー
こうして、その生徒は、教室に入ることもなく、毎日、帰っていくのです。
ある生徒が交通事故で亡くなったことがありました。その時に、ショックを受けて登校できなくなった生徒がいました。
親に連れられて来るその子を、相談室に連れて行き、じっと話すのを待つ姿。核心的なことには一切触れることなく、心が開いていくのをじっと待ちます。
そして、次の日も、同じことを繰り返します。
このように、スクールカウンセラーは、辛抱強く、心が開いていくのを待ち続けるお仕事です。
無理やり学校へ引っ張ってきた親も、そんなカウンセラーの姿を見て、子どもの心を大事にすることを学んでいくのです。
これは、すごいことで、尊敬に値します。
ちなみに、スクールカウンセラーのお仕事の背景はこんな感じです。
スクールカウンセラーのお客さんは、向こうからやって来ます。
スクールカウンセラーは、成果に関わりなく、業績そのものを問われることはありません。
お給料は、時給2,000円~5,000円程度、国から支給されます。
一般的に見て、かなりの好待遇だと思いますが、いかがですか。
ところが、料金をいただいて精神療法を行う一般的な心理カウンセリングに、このやり方を持ち込むと、どのような結末になると思いますか。
これは、想像するにたやすいですよね。
じっと待ち続けることで、クライエントは延々とカウンセリングを受け続けることになります。
クライエントのお金の出費が膨大になります。
ただ話を聞いているだけで、お金を取っていると誤解されます。
これでは、料金をいただいて行う精神療法とは言えません。
臨床心理士さんにも、いろいろいます。
上のような傾聴主体の方。
アカデミックな論文を書く必要のある方。
クライエントを研究対象と考えている方。
私は、こういう方々には、料金をいただいてカウンセリングを行う資格はないものと思っています。
少なくとも、
クライエントの悩みを本質的に治す術を備えている。
限られた時間内で、それが達成できる。
この2つができる技術と確信がなければ、心理カウンセラーとして、起業することは難しいものと思います。
私のところには、よく「カウンセラー希望の問い合わせ」があるのですが、たいていの方は、
「どのくらい稼げるものでしょうか。」
と最初に尋ねてきます。
私は、
「その前にあなたに心理カウンセラーとしてクライエントに向き合っていく覚悟がどのくらいあるかを教えてください。」
と問い返します。
基本、条件を付けてくる方には、心理カウンセラーとして、クライエントの心の闇に、真っ向から立ち向かう覚悟は無いものと思っています。
○○ならやる。
こんな覚悟で、ずっと悩み続けてきたマインドは、変わりようがないのです。
そんな半端なカウンセラーに、お金を払って話を聞いてもらうことほど、ばかばかしいことはありません。
ご料金をいただいて、お話を拝聴する。
それは、有限の時間の中で、確かな成果を出すことが、必然と要求されることを意味しています。
クライエントの変わる気持ちが弱かった。
話をいっぱいされる方だったので介入できなかった。
言いわけを並べるカウンセラーにも、実力はありません。
カウンセリングを行うには、それなりの覚悟が必要なことをわかっていただきたいのです。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
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