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我々は言葉で生かされている

カウンセラー

これまで生きてきた中で、最も心に残っている言葉は何ですか。

私には、こんな思い出があります。

多分、6歳か7歳くらいの時だったと思います。

普段、あまり会話をしたことのない親父が風呂上がりの私に、こう声をかけたんです。

「タツヒロ、お前は体をふくときに、下から拭くのか、上から拭くのかどっちがいいと思う?」

唐突な質問に、私はこう答えました。

「上からだよ。だって、下から拭いたら、上から濡れた水が落ちてきて二度拭かなきゃならないから。」

すると、親父は意外にもこう答えました。

「ほう、そういう考え方もあるな。」

当時は、バスマットなどのしゃれたものは敷いていませんでしたから、多分、親父は床が濡れてしまうことを私に注意したかったのだと思います。

でも、親父はそのことを口にしなかった。

このことは、私の他人の考えを受け入れて認めることの原点になっています。

「そういう考えもあるな。」

私は、人間関係で何か苦しさを感じるたびに、この言葉に立ち返ってきました。

人の考えを受け入れることで、苦しさがすっと消えていったのです。

意識が広がっていく自分を感じました。

これまで、この言葉がどれだけ自分を救ってくれたことか・・・。

 

皆さんも、子育てにおいても、職場の人間関係においても、夫婦関係においても、言葉を発していると思います。

その言葉の背景に、相手を認める、肯定する、受け入れるマインドが含まれていたら、それはきっと相手には黄金の言葉になります。

言葉は相手の心を生かすこともできるし、殺すこともできる。

カウンセリングとは、言葉を駆使して、クライエントに関心を持っていることを伝えてやり、感情そのものを認めてやり、そして相手の生き方そのものを受容してあげる作業です。

例え、変わりたいと思ってもなかなか変われないクライエントであっても、その変われない状態そのものまでも受容してあげることです。

無条件の受容とは、大変奥が深いものなのです。

カウンセラーを目指す方なら、自分の言葉でクライエント様を生かしてあげることを常に心がけてください。


最後まで、お読みいただきありがとうございました。

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