私は、基本的には自分自身のことをカウンセリング中にはお話しません。
でも、セッション中に、時々、「先生の場合はどうですか?」「先生ならどのようにしますか?」と尋ねられることがあります。
この時に、喜んで答えたり、延々と語り始めたりすると、カウンセラーとしての本分を外れてしまいます。
もしも、延々と自分について語るカウンセラーがいたら、(まあ、いないとは思いますが)その方は相談員だと思ってください。
相談の領域では、自分の物差しで、常識に基づき、経験を語り、道理を解説します。
時には、お説教じみたお話にもなるかもしれません。
カウンセラーの価値観の世界をクライエント様に押し付けることは、カウンセリングの道から外れる行為だと思ってください。
さて、クライエント様から、突然自分自身について尋ねられると、私は、正直、違和感を感じてしまうというのが本音です。
なぜかというと、私の意識がクライエント様の内面に入り込んでいるところに、突然自分の意識に引き戻されてしまうからなんです。
私は、こんな時には、自分の内面に意識を戻さず、クライエント様がそう尋ねた理由を瞬時に洞察します。
人は、通常、行き詰ってどうにもならなくなると、自分のことしか見えなくなりがちです。
他の視点を聞いてみたくなるということは、ある程度のゆとりがある場合が多いものです。
また、内面の世界が固まりはじめ、意識の広がりを求めるサインとも受け取れます。
ですから、私の場合、もしクライエント様が他者に関心を持ち始めたら、クライエント様の精神世界が広がってきていることを念頭におきつつ、「自分の場合は・・・」と前置きをしてから、簡潔にお答えするようにしています。
答えないという方法もあるのですが、特に信頼関係を築くことが重要であるカウンセリングの初期段階においては、クライエント様が期待を裏切られたと感じてしまうこともあります。
求めることに応えることで信頼関係は築かれていきますから。
一般カウンセリングの講座等では、
「カウンセラーは、自分の価値観を話してはいけない。」
と教えます。
それを直に受け止めすぎてはいけません。
本質的に、クライエント様の価値観の世界で対話が進んでいることが重要なのです。
カウンセリングには、柔軟で、フレキシブルな対応が必要です。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
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