愛着に問題が見られるケース
カウンセリングを進めていくうえで、今の苦しさや生きづらさが成育歴や父親・母親との関係から来ていると見立てた場合、カウンセラーはクライエントの親との愛着関係を背景に見据えながら、お話を聞いていくことになります。
不安心理がキーポイント
愛着関係が良好な人は、
ありのままの自分でいい
自分はここにいていい
とものごとを肯定的に捉えることができたり、環境に柔軟に溶け込み、周りとの人間関係を良好に保てたりするのに対して、
このままではダメだ。
何かしなくてはいけない。
と何かに追い立てられるように行動したり、常に心の不安を抱えて感情が不安定になりやすかったりします。
こういった常に安心できないという、異質な感覚を持って生きています。
不安心理が引き起こすもの
うつ発症の背景としても、成育環境は見逃せません。
自己否定・自己犠牲・自罰感情・自己肯定感の低下・過剰な努力・過剰な適応・孤立・拒絶・極端な執着心
↓
うつの発症、希死念慮
母親からの虐待
虐待する心理状態を理解することが大切です。
意図的に虐待を受けるケース、非意図的に虐待になっているケース、愛情として発信しているが受け取る側で虐待と捉えるケース
ここは、クライエントの単なる想像で形成されていることが多いので、その思い込みに気づくことで不安症状の緩和につながることが期待できます。
最も大切にしたいのはクライエントの心
現在の感情に寄り添い、受容してお話を聞いていくことがベースです。
感情の表出がないと思える場合でも、そこにつながるわずかな言葉を見逃さないことも大切です。
また、過去に何があったかに終始するのではなく、
今どう感じているか。
現在の自分が過去をどのように捉えているか。
に焦点化していく流れを作ることも大切だと思います。
わたしたちは、自分が見ている世界こそが唯一の世界だと思い込んでいて、その客観的世界にすべての人が存在していると錯覚しています。
これこそが大きな勘違いであり、人間関係がぎくしゃくする最大の要因でもあります。
人の数だけ世界があります。
これが、たった一人の心が宇宙に例えられる理由です。
それを認識したうえで、自分の世界(見える景色)と母親の世界(見える景色)を分離していく作業が実際のカウンセリングでは必要不可欠なことだと言えます。