昨年末にエゴグラムについて、カウンセラー連絡会で話題にしました。
エゴグラム概略
ご存じの通り、エゴグラムは心理学者エリックバーンの交流分析(Transactional Analysis)による考え方をベースに、発展・開発されたものです。
エリック・バーンは、人の性格を、 P(Parent:親らしさ)、A(Adult:大人らしさ )、 C(Child:子供らしさ)の3つの観点から分析しました。
彼の弟子であるジョン・デュセイは、これを元にして、PとCを2観点ずつに細分化し、さらに5観点の性格分析法を確立しました。
CP(Critical Parent:厳しい親)自他に対する厳しい心の在り方を示します。誰もが、自分自身に確信的な価値観をもって生きています。それ故、自分にも責任を求めすぎて自ら辛さを抱え込んだり、同時に他人に批判的になりやすなったりします。
NP(Nurturing Parent:優しい親)自他に対する優しい心の在り方を示します。誰にも、人に愛情をかけ、他人を思いやって行動し、世話好きで保護的で親切心があります。度が過ぎると、過保護や過干渉になりやすく、行動が人の自主性を損なうおせっかいの領域に入っていきます。
A(Adult:大人らしさ )論理的に考える心の在り方を示します。現実に起こっていることを気に留めて、知的に物事を考える合理的精神を持っています。過度になりすぎると、計算高く、感情を無理に抑圧したロボットのような印象を人に与えます。
FC(Free Child:自由奔放な子供)自由奔放な心の在り方を示します。人は、本来明るく好奇心旺盛でユーモアがあり、自己中心的な存在です。過度な場合には、自由奔放になりすぎて、周りから浮く存在になることもあります。
AC(Adapted Child:従順な子供)協調的な心の在り方を示します。人は、周りの評価を気にし、自分の思いを抑圧し、周りに従順になることで我が身の安定を保っています。過度な場合には、ストレスをため込み、その抑圧された心がシャドウになって現れることもあります。
これらの自我に潜在するエネルギーの大きさを目に見えるグラフで示すという画期的な方法です。
エゴグラムによるグラフ例
本サイトでは、エゴグラムについては、臨床心理士である松本敦先生のサイトにリンクさせていただいております。
50の質問に素直な気持ちで答えるだけで、グラフが作成されます。
本来は、心理療法としてクライエント様に対して、ご自分自身への気づきを深めるために用いるものですが、今回はカウンセラーたち自身がそれぞれ行ってみました。
5人のカウンセラーA~Eで、以下のグラフを示しました。
カウンセラーA
カウンセラーB
カウンセラーC
カウンセラーD
カウンセラーE
皆さんカウンセラーであるが故に、NPが高い傾向がありました。
興味深かったのは、FCとACの相関性が明確に出ていることです。
カウンセラーB 従順さ>自由奔放さ
カウンセラーD 従順さ<自由奔放さ
対極ですが、ご自分の心のバランスの在り方として考えると、無意識の中に切り込みやすくなるのではないでしょうか。
分析時に配慮すること
決して人と比べるものではないこと
どうしても、目に見えるものは、数値が高い低いで比べがちです。特に人と比べると、劣っているとか優れていると錯覚しやすいのですが、あくまでも個人内での観点別傾向性を探るのが目的です。
CPとNP、FCとNCは相反する組み合わせとなっていること
CPが低ければ、NPを下げる。
FCが低ければ、NCを下げる。(緩めるように努力目標として設置する。)
などの性格改善の指標として、活用することが望ましいのです。
ともあれ、エゴグラムは、個人が変容し、成長することを助ける心理療法の一つです。具体的な数値で示すことや目に見える形でわかることを考えたとき、心の中にある自我に気づくためには、大変有効な手段の一つになります。