インナーチャイルド
「インナーチャイルド」という言葉をご存知でしょうか。
これは、子供時代の頃の記憶や心情、感傷が大人になってもずっと存在している事を指します。
例えば、たまたま親が働いて忙しくてかまってもらえなかった子ども時代。
本当は親が忙しいのは、子供にいい生活をさせたいからなのですが、それを自分は愛されていないと思い込み、それが原因でその心を埋め合わせるような行動につながっていきます。
こんなカウンセリング事例があります。
子どもの頃、私は両親からああしなさい、こうしなさいと言われ続けてきました。父親は厳格な人で、私は親の所有物のような存在でした。何か言ったら叱られそうな気がして、私は自分の本心を押し殺して生きてきました。高校も大学も、就職先も親の望むとおりになり、親は私を自慢の息子だと思っています。現在も、金銭的に不自由はありませんが、まったく自分の人生を生きている気がしません。父親には、憎しみしか感じません。母親にも、何で自分の気持ちを分かってくれないんだと今でも思い続けています。もし、この気持ちが外せたら、どんなに楽に生きられるのだろうとよく考えます。
ここからは、本当の自分の感情にフタをして、親の価値観をただただ受け入れようとしてきたインナーチャイルドの姿が垣間見えます。
親や周りの大人にどんな理不尽な事を言われても、子供はそれらを受け入れることしかできません。
なぜなら、それが子どもが生きていく唯一の方法だからです。
悪い事をしていないのに「自分が悪いんだ」と認めることで解決したり、「言う事を聞いていれば、かわいがってもらえる」と子どもは判断を下すのです。
よくよく伺ってみると、実際には、このお父様は、子どものことが目に入れてもいたくないほどかわいいと思っていて、失敗や痛い思いをさせたくないとの理由から、このような子育てになってしまったのだそうです。
つまり、父親の真の愛情に気づくことができなくて、ゆがんだ感情をずっと持ち続けていたのです。
特に、子ども時代のことなので、父親の行動の背景まで読み取ることはできなかったのです。
小さい時に思い込んでしまった一つ一つの小さな感情を、大人になった本人はよく覚えてはいません。
でも、これらが、大人になった自分の思考や行動に多くの影響を与えています。
大人になっても、知らず知らずのうちに自分を悪者にしたり、嫌だと言えずなんでも人のいうなりにしてしまうのは、まさにインナーチャイルドと深くかかわっていることです。
「三つ子の魂百まで」ということわざがあるように、3歳ごろまでに受けた教育によって形成された性質・性格は、100歳になっても根底は変わらないと言われます。
子どものころに身に付けた思考癖は、環境や経験によって強化され、人の心の中で存在を大きくしつつ思考パターン(思考癖)を形成していることを表しています。
これが今の苦しさや辛さを生み出している原因になっています。
インナーチャイルドに関する記事はこちらをお読みください。
アダルトチルドレン
アダルトチルドレンという言葉は、最近は様々な場で取り上げられています。
家庭としての正常な機能をもたない環境の中で成長したために、大人になってからも心に傷を持っている人のことを意味します。
自分の意思や欲求を表現することが許されないというのが、これらの家庭環境に共通する特徴です。
このような機能不全家庭においては、子供は親から守られず、また愛情や教育を十分に受けることもないまま成長してしまうケースが多い傾向にあります。
そのため、成長してからも上手く社会に適応することが出来なかったり、人付き合いの仕方が分からなかったりするなど、様々な問題を抱え込むことになってしまうのです。
アダルトチルドレンの特徴
また、アダルトチルドレンがもつ特徴として、以下の症状があげられます。
もし上記の10項目のどれかに自覚がある方は、アダルトチルドレンである可能性が高いです。
本質的な解決を目指すには、何を差し置いても自分の心の仕組みとはたらきを正しく理解することです。
変えられない過去や環境にとらわれて生活することは、とても苦しいことです。
アダルトチルドレンの症状
具体的には、このような表れがあります。
(1)依頼心の強さ
十分に受けられなかった愛情を埋め合わせしようとする心の働きから、以下のような極端な行動に向かう傾向があります。
(主に物に関するもの)タバコ、カフェイン、嗜好性の強い飲料
(主に特定の行動に関するもの)ギャンブル、摂食障害、買い物、仕事、セックス
(2)問題行動
ご自分らしさの主張を誤った形で表現してしまう行為です。
(3) ストレス性障害
心で抱えているストレスが、身体的な症状となって現れます。
(4)精神障害
正しい感情の表現ができないために、歪んだ形で表現することになります。
(5)アダルトチルドレンの世代連鎖
アダルトチルドレンの方が子供をもうけると、自分が親にされたことを子供に対しても行ってしまうケースが多いのです。そのため、自分の抱えている問題がそのまま子供に継承され、新たなアダルトチルドレンの原因となってしまうことも少なくありません。また、反面教師も同様です。自分がされたことを子どもにしないようにする両極性は、まさしく親の影響のもとにしている行為に他ならないからです。
アダルトチルドレンが引き起こす防衛機制
アダルトチルドレンの生育過程では、不遇な家庭環境に対して以下のような自己防衛をします。
1 スーパーチャイルドタイプ
親から「良い子」「優秀な子」「しっかり者」と評価されるためにひたすら頑張るタイプ。「頑張ることを止めたら、親から見捨てられる」という恐怖感を常に抱えていることに加え、「結果が良ければそれで良い」「優秀でない人間には存在意義がない」という考え方になりやすいという問題点があります。また、見捨てられるという恐怖感から、自分の体調が崩れても頑張り続けてしまうという人も少なくありません。
2 問題児タイプ
トラブルを起こすことにより自分の存在を周囲に認めさせようとするタイプ。自分が悪者になることで、「この子さえいなければ我が家の問題が解消されるのに」という幻想を家族に抱かせて、家族が崩壊してしまうことを防ぐスケープゴートでもあります。「自分には価値がない」という思いから、家庭や学校で問題を起こすこともしばしば見られます。行動の奥底には、「寂しい」「助けて」という気持ちが隠されています。このタイプは成長してからも、人に対して暴力的であったり、過度に頼りすぎてしまったりと、人間関係をうまく構築することが出来ない傾向があります。
3 忘れられた子供タイプ
「大人しくて手がかからない子」と親から判断されてきた子に見られるタイプ。「自分は必要ない人間なんだ」という孤独感を抱えています。これは、自分の存在を目立たせないように息を潜めて生活し、緊張状態にある家庭環境から身を守ろうとしている気持ちの表れとも言えます。気持ちの奥底には誰かと深い関係を築きたいという思いがありますが、自分自身の殻を破る恐怖感から、閉鎖的で内向的な大人に成長する場合が多いです。
4 道化師タイプ
家庭内に緊張が生じると、突然おどけたりするなどの言動を取って、緊張感を和らげて問題をごまかそうとするタイプです。ムードメーカーと称されることも多いですが、場の空気を読みすぎてストレスを溜めてしまったり、自分を極端に過小評価するといった傾向も見られます。幼い頃から自分の感情を殺して道化役を演じてきたために、自分が本当は何を望んでいるのか、自分はどう感じているのか分からなくなっているケースも少なくありません。
5 世話好きタイプ
自分を殺して、ひたすら兄弟や親の面倒を見ることで家庭に問題が生じるのを防ぎ、家庭内の調整役として成長してきた人によく見られるタイプです。献身的で人間の出来た方だと評価されることもありますが、自分以外の誰かの世話をすることが全てであって、自己主張が出来なかったり、自分が何をしたいのか分からなくなっている場合があります。
アダルトチルドレンであるご本人に、直接的な責任はありません。
機能不全家庭で育った事実は変えられませんが、それによって身に付いた思考は十分変えていくことができるのです。
あなたの思考を幸せを作り出す思考に書き換えましょう。
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