それは、周りの存在や聞き手のことを初めに考える自分の思考癖でした。
「この会議の参加者は、ほとんどが初心者だから、こんな準備をしなければいけないな。」
「今度のプレゼンに参加する人は高位な人たちだから、こんなことを考えながら聞くんじゃないかな。」
多分、相手のことを考え過ぎるあまりに、自分のことがおろそかになる状態でした。
そんな原点に立ち返って、考えてみました。
つまり、周りが一番で、自分は二番目。
決して、自分をおろそかにしないこと。
周りに振り回されてきた自分に気づきました。
別に、周りは私を振り回そうなんて思っていない。
私が勝手にそう思っていただけ。
この時、私は、自分を一番に持ってくる必要性を感じたのです。
心の在り方ひとつで、周りの景色が違って見えました。
そして、スポーツの競技者が、無心になって、己のすべてを発揮するように、私も自分の持つものを疑うことなく、ありのままに表現すればいいのではないかと考えるようになったのです。
素直な気持ちで自分に向き合い、自分に集中して、できることを精いっぱいやろうというマインドです。
その自分自身に、点数をつけることもなければ、評価付けも一切しません。
すると、不思議なことに、周りがどう受け取るかという思考が薄れていることに気づいたのです。
このとき、評価の世界から離れた自分を感じました。
周りのことをあれこれ考えながら、自ら周りに評価を与えていた。
自分自身が周りへの評価を手放したときに、周りから受ける評価も手放したということです。
このような過程を経て、私は、評価を与え評価を受け取るという観念を、心から追い出すことができたのです。
目の前の現実は、すべて自分のマインドが作り出していたということです。
こういうことに、一つ一つ気づきつつ、私は自らの経験から心がどう働くかのエビデンスを裏付け、確かなものにしてきました。
一芸を身に付けるためには、
という段階があります。
武道の教えでは、「守・破・離」と言います。
大勢の人から学びを吸収してきた今、そのことに心から感謝しつつ、
私は「離」の段階にいることを実感しています。